全車種専用設計、ボルトオン
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SPIIコントロールユニットは各車種毎に専用開発を行っています。
その理由は、各車種毎にそれぞれ最適な点火カーブ(マップ)があるからです。
各車種毎にシャシダイナモ、実走行テストなどによって決定された基本点火カーブ(マップ)がSPIIコントロールユニット内に設定されています。
車体側との接続部であるコネクタも各車種専用となっており、特に加工なしで装着できます。
また、SPIIハイパワーコイルも各車種専用ブラケット付となっておりボルトオン装着できます。 |
全車種専用
SPIIコントロールユニット |
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XJR1300-2 |
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CB750F |
GSX1100S-2 |
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ゼファー1100 |
SR400/500-2 |
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低中速のトルクアップ、高回転の伸び
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低中速回転域では混合気の状態が理想的とはいえず、燃焼しにくい状態です。
そこで、着火時点での強力な火花(いわば種火)が大変有効になります。
このトルクアップはマフラー、キャブなどではなかなか実現できません。また、逆にマフラー、キャブなどの交換で低、中速のトルク、パワーが低下した場合にも点火強化は害の少ない大変有効な方法です。
また、シャシダイナモテストや蓄積データなどによって高回転(特にピーク以降)でのパワーの落ち込みを少なくする点火時期設定となっています。 |
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SPIIハイパワーイグニッションコイル
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イグニッションコイルの性能としては、主にプラグの電極にかかる2次電圧(放電電圧)と、放電が始まったあと火花放電として電極間(プラグギャップ)に流れる放電電流の大きさがあります。
SPIIハイパワーコイルは約40000Vの2次電圧を発生します。(ノーマルは20000〜30000V)
また、放電電流はノーマルの1.5〜2倍、放電時間はノーマルの2〜3倍となっています。
2次電圧が大きいと主にプラグギャップを大きくすることができ、着火性能が向上します。
放電電流は、いわば種火なので基本的には大きいほど良いといえます。
イグニッションコイルは一種の変圧器なので、原理的には1次コイルに流れる電流と発生する電圧が変換されて2次コイルの電圧と電流となって出力(火花放電)されます。
従って、1次コイルに大きな電流を流し、大きな電圧を発生させると、結果的に大きな火花放電が起きることになります。
一般的に、ハイパワーイグニッションコイルは大電流を流しやすくするために1次コイルは低抵抗となっています。
SPIIハイパワーコイルの1次コイル抵抗値は1.2Ω(ノーマルは3〜6Ω)となっています。また、コイルの鉄心は、大きな磁束を発生させやすく、かつ小型軽量にできる閉磁路(環状)タイプとなっています。
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大容量トランジスタ
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フルトラ式点火は名のごとくイグニッションコイル1次コイルに流れる電流をトランジスタが流したり切ったりします。トランジスタの容量が小さいとせっかく低抵抗なハイパワーコイルを用いても1次電流の抵抗となってしまい、コイルの性能が発揮されないばかりか、トランジスタが発生熱のため破損したりします。
SPIIコントロールユニットでは、SPIIハイパワーコイルの1次コイルに充分電流を流せるよう大容量トランジスタ(ノーマルの約3倍)を採用しています。また、このトランジスタは瞬断能力にも優れており、高い1次電圧の発生にも寄与しています(写真)。
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SPIIコントロールユニット
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SPIIコントロールユニットは高速マイクロコンピュータによって1回転毎に最適な通電時間、点火時期を制御しています。
本体には、簡単に操作できる点火カーブ(マップ)選択用スイッチと、レブリミット設定用スイッチがあります(写真)。また、社外品タコメータ使用時のために12Vデジタル出力線も装備しています。本体はプラスチックで密封されており、耐震、防水性に優れています。
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最適点火マップ(カーブ)の決定
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当社では、各車種毎にノーマルの特性を基にシャシダイナモテストや実走行テストを重ね、さらに蓄積されたデータをもとに基本点火マップ(カーブ)の決定を行っています。基本点火マップ(カーブ)が適正なので後の点火時期調整が有効に働きます。
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10〜5種類の点火マップ(カーブ)
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SPIIコントロールユニットではバイクの使用状態、チューニングの程度によって点火マップ(カーブ)を選択することができます。
まず、テストによって決定されたノーマルスペシャルマップ(NSP)、さらにそれを基本とした進角モード、遅角モード、共に数種類選べます(グラフ)。基本的な選び方としては、スロットルパーシャル走行が多い(通常、一般走行)場合は進角モード、全開の多いスポーツ走行、またはチューニングが進み吸入効率及び圧縮比の高くなったエンジンの場合は遅角モードを選択します。
どのモードもスイッチによって簡単に変えられるので、いろいろ試してみることが容易に行えます。
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SPIIパワーアンプ
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「ハイパワーイグニッションコイルを装着したい、しかし、ノーマルイグニッションコイルの抵抗値と合わない」
そういう悩みから解放してくれるのがこのSPIIパワーアンプです(写真)。
SPIIパワーアンプはノーマルの3倍の能力を持つ大容量トランジスタが内蔵されています。ノーマルイグナイタ、またはポイントからは信号を得るだけなのでまったく負担をかけません。
SPIIパワーアンプは、ハイパワーコイルの1次コイルにスムーズに大電流を流し、また高い瞬断能力によってハイパワーコイルに高電圧を発生させ、ハイパワーコイルの性能を100%発揮させます。
本体はプラスチックで密封されており耐震、防水性に優れています。また、小型(50×78×27mm)、軽量なので場所をとりません。
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スロットルパーシャルでのトルクアップ
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通常走行ではほとんど、スロットルはパーシャル(部分開、主に0〜50%)状態です。パーシャル時、及びスロットルオープン時の過度期はエンジンにとって混合気の状態が悪く、トルクが出にくい状態です。
この領域もSPIIハイパワーコイルの強力火花によって見ちがえるようにトルクアップします(グラフ)。
パーシャルからスロットルオープン時のレスポンス、フィーリングの向上は点火強火の大きな特徴です。
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始動性、燃費の向上
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点火強化によって確実に暖気運転の時間は減少します。
アイドリングもエンジンにとって苦しい状態ですが、SPIIハイパワーコイルの強力火花によって大きく安定します。また、アイドリングからスタートのクラッチミート時にはトルクフルさを体感できます。
全域でのトルクアップによって、同じ走行でもスロットル開度は少なくて済み、従って燃費も向上します。
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ポイント車
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誘導点火方式においてイグニッションコイルの1次電流の断続をポイントの接点で行っています。
現在ではほとんど使用されていませんが、旧車はほとんどがポイントとなっています。
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ノーマルイグニッションコイルの抵抗値
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イグニッションコイルの1次コイルの抵抗値(通常3〜6Ω)を言います。この抵抗値に合わせてノーマルイグナイタは設計されており、抵抗値の低い(約1Ω)ハイパワーコイルをそのまま装着すると、ハイパワーコイルの性能が発揮できないばかりかノーマルイグナイタの破損の恐れがあります。
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フルトラ点火(フルトランジスタ点火方式)
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誘導点火方式で、イグニッションコイルの1次コイルの断続機能をポイントの接点からトランジスタに置き換えた方式です。
さらに機械式ガバナーの進角機構と通電時間制御をコンピュータ制御にしたものをフルトランジスタ電子進角式点火方式といい、現在の主流となっています(図)。
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CDI点火
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CDIとは容量放電点火(Capacitive Discharge Ignition)の略です。
コンデンサに充電した電荷(100〜300V)を点火時期にイグニッションコイル1次コイルに放電することにより、イグニッションコイルに急激な磁束変化を与え、2次コイルに高電圧(2〜3万V)を発生させ、プラグ電極間に放電させる方式です(図)。
発電機がフライホイルマグネト&チャージコイルの場合、バッテリーなしでの点火が可能です。
また、コンデンサに充電する電荷をバッテリーからDC-DCコンバータによって作り出す方式をDC-CDIといいます。
CDI点火では、コンデンサに充電した電荷を一挙に放電するので、プラグへ供給される放電電流も時間は短いが大電流であり、プラグのくすぶり汚損に強いなどの特徴があります。
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誘導点火方式と容量放電点火方式
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誘導点火方式とは、イグニッションコイル1次コイルに電流を流し(通電)、遮断した瞬間の大きな磁束変化によって1次コイルに約200Vの電圧を発生させ、さらに2次コイルによって変圧された高電圧(2〜4万V)を利用しプラグ電極間に放電させる方式です。
容量放電点火方式→CDI点火
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点火時期
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燃焼室内の混合気に点火するタイミングをいい、クランクの回転角で表します。
ピストン上死点を0度としてその前を上死点前(BTDC)、後を上死点後(ATDC)といいます。また、ある点火時期から早めることを進角、逆に遅くすることを遅角といいます。
普通、点火は混合気の燃焼時間を見込んで上死点前(5度〜50度)に行われます。
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燃焼圧力と点火時期
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ガソリンエンジンでは混合気を吸入、圧縮、点火、燃焼させてトルクを得ています。
シリンダ内の圧縮混合気に点火後、混合気全体が燃焼し最大圧力に達するまでにはある時間が必要です。
一般的にエンジンが最大トルクを発揮する点火時期は、混合気の燃焼による最大圧力が上死点後約10°に設定されたときです(図)。この最大圧力に達するまでの燃焼時間はエンジンの運転状態によって異なるため、燃焼速度が遅いとき(スロットル開度が小さく実際の圧縮比が低いときなど)には点火時期を早くする必要があります。
エンジン回転数が高くなると同じ燃焼時間でも、その間のエンジンの回転角は大きくなります。従って点火時期を早めて燃焼開始を早くする必要があります。
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ノッキングと点火時期
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ガソリンエンジンの燃焼は点火時期に点火プラグから与える火花で着火され、火炎が混合気内を伝わることによって行われます。ところが火炎伝ぱ途中で圧力が異常に高くなった場合、火炎の伝ぱを待たず自己着火して一時に燃焼してしまう場合があります。これをノッキングといいます。
この場合、急激な燃焼によって生じる圧力上昇が燃焼室内ガスを振動させ、打音を生じるため、「カリカリ」という異音として聞こえます。
ノッキングが生じると、燃焼ガス振動により熱の伝わりが激しくなるので、その状態が続くと点火プラグやピストンの過熱・溶損を生じ、エンジンを破損してしまいます。ノッキングはエンジンにとって避けるべき最も有害な現象の一つです。
ノッキングと点火時期は密接な関係にあり、点火時期を早めると燃焼最大圧力が高まりノッキングが発生します。しかし、エンジンから最大トルクを引き出す点火時期は、ノッキングを始める点火時期(ノッキング限界)の前後近傍にあります。ノック制御(4輪では普通に行われている)のない場合、点火時期を設定する際にはノッキング限界から余裕をとる必要があるため、その分トルクは低下します。
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点火カーブとマップ
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横軸にエンジン回転数、縦軸に点火時期(BTDC)を表した2次元グラフを点火カーブといいます。点火時期はエンジン回転数のみによって決定されます(図)。エンジン回転数とスロットル開度によって点火時期が決定される3次元グラフを点火マップといいます(図)。 |
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TPS
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TPS(スロットルポジションセンサー)は、そのときのスロットル開度に応じた電圧を出力するセンサーでキャブレターに組み込まれています。
点火マップによって点火時期を決定する点火システムで使用されます。同じエンジン回転数でも、そのときのスロットル開度によって吸入混合気の量は異なり、実質圧縮比は異なります。従って点火時期もそれに応じて変化させることで最良の燃焼(=トルク)が得られます。
TPS付でない場合、点火カーブはノッキング防止のためスロットル全開付近での最適点火時期となっています。逆にいうとスロットルパーシャルでは最適な点火時期ではないということになります。
SPIIフルパワーキットでは、ノーマルがTPS付の場合、すべてそれに対応しています。
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火花放電
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火花放電はイグニッションコイルで発生した高電圧が、プラグの火花ギャップ間の絶縁を破壊することにより発生する放電をいいます。
火花放電は容量放電と誘導放電の二つの成分により構成されています。トランジスタ点火では、コイルの2次巻線側に発生した高電圧がコイルの巻線間またはプラグコードなどの静電容量C2をまず充電します。この静電容量の充電電圧が火花ギャップの放電電圧以上に達すると、この静電容量に蓄積された電荷が放電されます。これを容量放電といいます。この静電容量は一般的に100pF以下のため、大電流(30〜50A)が短時間(約10ns)流れて完了します。
次に、コイルの2次巻線側の電磁エネルギによる放電電流が火花ギャップ間を流れますが、2次巻線側はインダクタンスが大きいため電流値は小さく(50〜80mA)、比較的長い時間(1〜3ms)放電が継続します。これを誘導放電といいます(図)。 |
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火花の点火性
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点火とは、火花が放電されることにより、火種(火炎核)が火花ギャップ間に発生し、その火炎核が周囲の混合気に広がり燃焼に至る現象です。
放電により発生した火炎核は、次第に成長し火花ギャップを構成する中心及び接地電極に接触するようになりますが、電極の温度は火炎核より低く、かつ質量も大きいので図に示すように電極はこの火炎を消す作用をします。これを電極の消炎作用と呼んでいます。このことから、火花の点火性を向上するには電極の消炎作用を低減する必要があり、一般的に次の手段が採用されています。
(1)火花ギャップの拡大
(2)中心電極の細径化
(3)電極部に溝などを設けて火炎核との接触面積を少なくする
つまり、火花ギャップが大きくなるほど、電極が細いほど点火性が向上する(薄い混合気まで点火できる)といえます。
また、点火性に影響を及ぼす点火装置の放電特性としては、一般的に次があげられます。
(1)火花エネルギーが大きいほど点火性の向上に寄与する。
(2)容量成分より誘導成分のほうが点火性の向上に寄与する。
これは、誘導成分のほうが放電期間が長く、混合気との接触機会が多くなるためと考えられます。
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イグニッションコイル
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一種の変圧器で1次コイル、2次コイル及びそれが巻かれている鉄心で構成されています(図)。
鉄心が環状となっている閉磁路コイル、開放となっている開磁路コイルとがあります。図は閉磁路コイルです。
閉磁路コイルは鉄心だけで磁気回路ができているので、磁気抵抗が小さくなります。従って、同等の磁束を作るのに必要な起磁力は、開磁路コイルに比べて小さくてもよく、1次コイルの巻き数を少なくできます。この結果、開磁気コイルよりも小形、軽量化しやすくなっています。
二輪車のイグニッションコイルは開磁路構造が普通ですが、SPIIパワーコイルでは閉磁路構造を採用しています。1次コイルに通電、遮断することによって約200〜300Vの1次電圧が発生し、2次コイルに変圧された2次電圧(約40000V)が発生します。
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通電時間
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コイルには電流を流そうとすると、妨げようとする作用(自己誘導作用)があります。そのため、誘導点火方式では1次コイルに一定時間、電流を流さないと十分な磁束の発生が得られません。その時間を通電時間といいます(図)。
通電時間は長すぎてもコイルの発熱などの悪影響があります。SPIIコントロールユニットでは、ハイパワーコイルの性能を十分発揮させるためにエンジン回転数が変化しても十分な通電時間が得られるよう、通電時間制御しています。
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シャシダイナモ
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二輪車の後輪出力を測定する装置です。
慣性の非常に大きいローラーを後輪で回転さすことによってその加速度を測定しトルク値を得ます。さらにその時のエンジン回転数を掛け合わせてパワーを算出します。
当社では独自のノウハウにより、計測が困難とされているスロットルパーシャルでの出力測定も取り入れて製品開発を行っています。
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レブリミット
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レブリミットとは、エンジンの過回転防止のため点火ユニット内のプログラムによって決められた回転数で点火カットすることです。
ノーマル車のレブリミットは余裕をもって設定されている場合が多く、スポーツ走行やチューニングされたエンジンではもう少しレブリミットを上げたいということがあります。
SPIIコントロールユニットでは、スイッチによって簡単に200rpm毎に自由にレブリミットを設定することができます。また、レブリミットなしにすることも可能です。 |